新しい音楽の楽しみの懐かしさ

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 学生の頃、友人の部屋に遊びに行くと、たいていステレオの横にはCDラックがあって、その中からどこで手に入れたのか分からないようなのを聞かせてもらうと、それがスゴく良かったりして、同じレーベルのCDを街に探しに行くというのをよくやってました。部屋で一緒に聞く音楽というのは、静かで動きの無い部屋の風景も手伝って、音楽の存在感は浮くほどに大きく、ライブとかクラブ、車の中で一体となって盛り上がるのと全く異なる、時間の流れとしてよく覚えています。CDラックには昔ハマったものから最近気に入っているものなんかがいろいろ詰まっていて、眺めるだけでフォトアルバムのように楽しめるものでした。今となってはそれらの多くが聞かなくなってしまったものですが、それもまた別の楽しみ方で復活することを新しいツールは気付かせてくれます。
 働き始めて、一緒に音楽を聞く機会がなくなると、次第に音楽は一人で楽しむものになるもの。ミックスCDを作って送りつけるという手の込んだ遊びも楽しいのですが、技術の進歩は早いもので、今では驚いたことに手軽に遠く離れたパソコン同士でitunesライブラリを共有できるようになってたりするのです。この新しいデジタルのCDラックを整理しながら音楽でつながれることを再確認していると、再生して楽しむだけでは飽き足らず、音楽を作ったり演奏したり、特に手を動かして、手に覚えさせて音を操るのが、身体にも良かった楽しかったと気付かされるのです。おまえの音楽の原体験はそこじゃないだろ?と。とりあえず久々に楽器を出してきて練習してみるのでした。デジタルでは情報を共有するだけでそこには空間が欠けているのに、逆にその分離の便利さが生々しさを触発して、足りないものが見えてきて、動きたくなる。そういうふうにできてるんですね。将来的にはwebを通して演奏なんてのもタイムラグ無く簡単に出来るようになる、なんて時代が来てそれはどこかで懐かしさとリンクしていくのでしょうね。