写真

 中平卓馬の写真を見ると、写っているものまでの距離や遠近感があまり感じられない。そして自分もその場に居るような気がしてくる。普段見慣れた光景に似ているというのもあると思う。触知的な記憶が蘇る。細部を全体の一部としてでなく、そのものとして見る。2度見じゃないけど、もう一度見たくなる魅力がある。

見続ける涯に火が・・・ 批評集成1965-1977

見続ける涯に火が・・・ 批評集成1965-1977


 写真はそれ自体独立した一つの宇宙を構成し、映像としての論理をもって自立運動を開始する、ということを強調したい。それは「事実」とか「現場」とか「対象」から自由な論理であり、時にまた、既に表現され提出され<外化>されたという意味でカメラマンからさえ自由な論理なのである。1965
 「見る」ことがすでに築き上げられたコードに縛りつけられ、「見る」ことが、「見ない」ことと同じになっている時、われわれはカメラという非人称的な機械を介して、この世界と渡り合う。そこには写真を撮る瞬間、自分自身知らなかった異貌の世界がフィルムに刻印される。その驚き。意識と無意識の境界地帯。そこにコードを突き破り、コードを爆破する小さなきっかけを見いだすこと、それが写真家に望みうるたったひとつのことである。1977

原点復帰-横浜

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中平卓馬 Documentary

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都市 風景 図鑑

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