マーク・ロスコ 瞑想する絵画

 マークロスコの展覧会を見に川村美術館へ。ニューヨークのシーグラムビルのために描かれたシーグラム絵画の半数が一堂に会す初の展覧会ということだったので、遠かったのですが足を運んでみました。錆びた鉄のような暗くて赤い色調が何層も重ねられてできた巨大壁画が連なるように並べられています。絵の持つ微妙な色や輝きの差異で感度が高められ、見ればみるほど色鮮やかに見えます。別の絵と見比べたり目をつぶったりすると壁画同士が静かに共鳴している気がしました。絵自体は奥行きを感じさせないものでしたが、絵に囲まれることで体験したことのない「場」として感じられます。その「場」は絵と感覚が親密に直接結びついているようで、「空間」と呼ぶほどそこに物理的な距離をもって知覚する感覚とは程遠い、精神に響くものがあります。展覧会に合わせて刊行された本に、ロスコが極端に暗い照明で絵が仄かに見えてくる状態を好んだというようなことが書いてありましたが、あまりそういう見方をしたことがなかったので、なるほどこういうのも想像力を引き出すのに大切なんだろうなと思いました。

MARK ROTHKO

MARK ROTHKO