鼻の穴

ii
 メリークリスマス。久々に髪を切りに美容室に行ったら、そこで夢の話になり、美容師さんはティッシュが耳にスポッと入る夢を見るとのことだった。僕も耳ではないけど鼻にまつわる夢を2度寝したときに見たことがある。その朝は鼻が詰まっていたのだけど、右向きに寝れば右の鼻が詰まるし、左を向けばその鼻詰まりが左にゆっくり移動するといった具合で、その中間のどっちの穴も詰まっていない状態を目指して右を向いたり左を向いたりしてたら2度寝に入ったらしい。意識があいまいになると、鼻の穴が右と左2つあるという認識がなくなり、もがくたびに鼻が楽になったりそうでなくなったりという繰り返しになった。そこにあるのは時間的な感覚の変化だけで、身体の空間的な広がりが消えていた。鼻づまりの始まりと強弱、終わりだけからなる世界、目が覚めるまでは鼻の穴の数は1つで問題ないのだ。
 科学未来館には地球型の巨大なディスプレイがぶら下がっていて、それに映し出された地球が半分は真っ暗でココからは夜ですというラインがはっきり分かるのだけど、そのときは、流石に昼と夜は同時に見れるなんて夢にも思っていなかったのでびっくりしたけど、逆に鼻の夢のように身体のボリュームを消した時にできるものというのも面白い。