さび


 草津商店街から路地に目をやると色のついた壁が見えたので入る。青い壁と赤い壁に挟まれた通路は人一人通るのにちょうどいい幅で、空は両側の屋根でほとんど閉じていた。錆び付いたペンキの色もおばあさんやおじいさんが若い頃はもっと違う色だったのだろう。そう思うと赤い壁と青い壁は、何十年も向かい合ってるおばあさんとおじいさんを写している気がしてきて、ここはそれを見守る(見守られる)ための通路なんだと思った。僕も年をとったら寂びた青い壁のように見詰め合っていると思う。